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励ましの時代は終わったのではないだろうか
6:00am・・・・・今日の波/ヒザコシ・曇り
今日も夏の南西うねりが届いています。

数年前に読んだ、五木寛之さんの本『人間の関係』を久しぶりに読み返してみた。
そのなかで、「励ましよりも慰めること」というテーマで書かれていた内容が
心に沁みこんできました。

僕は、ある人間が絶望の淵にあったり、死を前にしたとき、その人の心を癒す言葉には
二つあると思っています。それは励ましと慰めです。
仏教ではこれを『慈悲』と言います。
『慈』の愛と『悲』の愛。
言葉を換えれば、励ましと慰めとなるでしょう。
慈の愛は、人々を立ち直らせ、勇気づけ、元気づける愛。
悲の愛とは、なにも言わずに、相手の痛みを感じようとする愛です。
ただ自然にわきあがってくる感情が、相手にじんわりと伝わっていくという、無言の愛。

生きることは苦しい。
これ以上は、もう歩けない。
そんなとき、積極的に人を支えるための励ましのメッセージをだすことも必要でしょう。
しかしまた、なにも言わず、相手の痛みや哀しみに共感、共苦し、黙ってただ寄り添うこともまた、
同じくらい大事なことなのではないでしょうか。

戦後の60年間、これまではがんばれ、という前向きの声だけが強調されてきたのです。
しかし、『悲』を忘れた日本人の心は、いま限界まで乾ききってしまったように思われてなりません。
私たちは、もう一度、慈悲という言葉の『慈』とともに、『悲』という言葉のもっている
ふかさというものを見なおさなければいけない。
僕は、切実にそう感じるのです。
『人間の関係』五木寛之著 ポプラ文庫より

今年、多くの災害があり、広島、長崎の日も過ぎた今。
五木さんの思いにあらためて、いろいろと学ぶことが書かれた本だと思いました。
3月11日から、「どんな生き方をするか」考えている方が多くいるのではないでしょうか。
そんなときに、この五木さんのこれからの時代の人間の生き方を語った本を
読んでみると良いかもしれません。

PS/お盆の期間、いつもよりたくさんのお客さんが来てくれました。
それで、食材がランチタイムで売り切れる日があり、夕方はいつもより早く終了させていただきました。せっかく来ていただいたのに、入れなかった方、すいませんでした。
家族経営の小さなお店なので、なかなか無理はできません。
by cafe_delmar | 2011-08-18 06:42 | デルマー前:波情報