7:00am・・…今日の波/クローズ・曇り
3センチぐらい、うっすらと雪が積もっています。
井手が浜を散歩した春樹
僕が中学3年生の時、クラスに中島君がいた。
中島君はちょっと知的障害があって、吃音があった。
いわゆる言葉がうまくしゃべれない、どもりがが強い同級生だった。
中島君はクラスのみんなから特に嫌われているわけではなかったが、
仲が良い友達はいなかったような気がする。
そんな中島君をからかっている奴も何人かいた。
その中の一人と僕も初めは仲がよかったが、中島君をからかうのがいやだったので、
そいつとその仲間とは遊ばなくなった。
僕が中島君と出会ったのは、もう33年も前の話だ。
中学を卒業して、中島君がどうしたのかは知らない。
ただ、中島君は、学校ではひとりぼっちだったんだろうな。
33年も前の事なのに、中島君がいた教室の情景が心に浮かんだ。
なんでそんな30年以上前の事を思い出したのか。
それは、村内先生を知ったから。
小説の話の中の先生なんだけど。
重松清『青い鳥』新著文庫
村内先生は中学の非常勤講師。
国語の先生なのに、言葉がつっかえてうまく話せない。
『なあ、篠沢さん、うまくしゃべれないっていうのは。つらいんだ。
自分の思いが。伝えられないっていうのは、ひとりぼっちになるって。
ことなんだ。言葉が。つっかえなくても。自分の思いが。伝えられなくて、
わかってもらえなくて。誰とも。つながっていないと思う。子は、ひとりぼっちなんだよ、
やっぱり。
でもなあ、ひとりぼっちが二人いれば、それはもう、ひとりぼっちじゃないんじゃないか、
って先生は思うんだよなあ。
先生は、ひとりぼっちの。子の。そばにいる、もう一人の、ひとりぼっちになりたいんだ。
だから、先生は、先生をやっているんだ。』
青い鳥、本文より
今年は重松清の本、たくさん読みます。