大人の男と言うものは、どんな人なのかを教えてくれる小説家

9:00・今日の波/こしはら・曇り
カフェ、今日も元気に営業しています。

真庭市のＦさんからいただいた、美味しいブドウを喜んで食べる春樹。
毎年、送ってくださるやさしい夫婦です。
大阪へ行くと、必ず古本を5冊ぐらい買ってくるのが習慣です。（なんばのブックオフで）

伊集院静という小説家が僕は好きです。

この人の小説を読むようになったのは、もう20年以上前だ。

なぎさホテルが登場してくる物語やエッセイは、彼のファン

ならよく知っているでしょう。

逗子の海沿いにあった小さなホテル。

そこで、伊集院静は約7年余りホテルで暮らした。

別れた妻子の養育費などで、お金のない日々が続いた。

だから、どんな仕事でも引き受けた。

歌の印税は儲かると聞いて、アイドルの作詞もいくつか書いて、

ヒット曲にもなった。

作詞家で使う名前は、違う名前で書いていました。

大ヒットした、マッチ（近藤真彦）というアイドルの歌は有名だ。

歌手のコンサートやステージの演出もやった。

（その中には、ユーミンもいたが、それまで、ユーミン

の歌を伊集院はほとんど知らなかった。）

もちろん初めての経験だったが、小説を書いているだけでは

食えなかったから、依頼された仕事をやっていくしかなかった）

なぎさホテルのＩ支配人は、外国航路の船乗りだった。

年齢を重ねて陸に揚がり、なぎさホテルの支配人の

仕事についていた。

『いいんですよ。部屋代なんていつだって、ある時に

支払ってくれれば。出世払いで結構です。

あなた一人ぐらいなんとかなります』

Ｉ支配人は笑って、私が少し旅に行くと言うと、

旅の代金まで貸してくれた。

日本には、素晴らしい高級ホテルがたくさんあります。

最高のサービスを提供してくれるホテルです。

（例えば、帝国ホテル、リッツカールトンなど）

それでも僕は、古くて、ところどころ傷んだ壁や外観の

なぎさホテルに泊まってみたいとこの小説を読んで思った。

伊集院静は、なぎさホテルのことをこう表現していました。

『私は、ここでホテルが客に何を提供するのかを学んだ。

それは、ゲストが必ずしも愉しむだけの為にホテルを訪れていない

時もある。悩みを抱えた人、哀しみ、追憶の日々を送っている人、

さまざまな人生模様を、品格を持って静かに迎えることもホテルの

大切な役割である』

なぎさホテルで、伊集院静は『大人の男とは何か』を学んだと言う。

たぶんそれは、Ｉ支配人を始め、他の従業員の人たちも、彼のことを

家族のように大切にしてくれたからだ。

ホテルで過ごした7年余りは、夢のような時間だったと作家は振り返る。

もう泊まりたくても、そのホテルはない。

だから、なぎさホテルは作家の夢の中にしか今は存在しない。

誰にでも、そんな夢のような時間があるかもしれない。

たとえ短くても、自分の居心地の良かった場所。

たくさんの理不尽を経験したとしても、夢のような時間があった

人はまた、陽の射す朝に起き上がれるような気がします。

大人の男をほんとうに知りたければ、伊集院静の小説を

読めばいい。それでもわからなければ、まだ小説を読む

量が足りてないからだろう。

中古ボード（ショートが3本ほどあります）詳しくはマスターまで。（\19,000-から\59,000-まで）

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